福祉事業に携わる介護職の平均給与は、他の事業よりも少ないという統計がでています。
そのために国の施策として、給与を増加させるために処遇改善加算という制度をつくり、障害福祉サービスにも適用することとしています。
処遇改善加算は、キャリアパス要件と職場環境等の要件を作成・整備し、職場環境の改善を行った事業者に対して、従業員の賃金をアップするという制度です。
福祉・介護職員処遇改善加算
処遇改善加算は、他の加算とは異なり、加算の給付金は事業所が使用できるお金ではなく必ず介護職員に分配する必要があります。
処遇改善加算の算定要件の区分は以下のようになります。
区分 | 加算率 | 要件 |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ) |
共同生活援助、日中サービス支援型共同生活援助の場合(所定単位数の7.4%) 外部サービス利用型共同生活援助の場合(所定単位数の17.0%) |
キャリアパス要件(Ⅰ) キャリアパス要件(Ⅱ) キャリアパス要件(Ⅲ) 職場環境等要件の全てを満たすこと |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ) |
共同生活援助、日中サービス支援型共同生活援助の場合(所定単位数の5.4%) 外部サービス利用型共同生活援助の場合(所定単位数の12.4%) |
キャリアパス要件(Ⅰ) キャリアパス要件(Ⅱ) 職場環境等要件の全てを満たすこと |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ) |
共同生活援助、日中サービス支援型共同生活援助の場合(所定単位数の3.0%) 外部サービス利用型共同生活援助の場合(所定単位数の6.9%) |
キャリアパス要件(Ⅰ)又はキャリアパス要件(Ⅱ) を満たすことに加え職場環境等要件を満たすこと |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ) |
共同生活援助、日中サービス支援型共同生活援助の場合(福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の90%) 外部サービス利用型共同生活援助の場合(福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の90.0%) |
キャリアパス要件(Ⅰ) キャリアパス要件(Ⅱ) 職場環境等要件のいずれかを満たすこと |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅴ) |
共同生活援助、日中サービス支援型共同生活援助の場合(福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の80%) 外部サービス利用型共同生活援助の場合(所福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の80%) |
キャリアパス要件(Ⅰ) キャリアパス要件(Ⅱ) 職場環境等要件のいずれも満たさないこと |
キャリアパス要件の概略は以下のようになっております。
キャリアパス要件Ⅰ
(1)介護職員の任用の際における職位(役職)、職責または職務内容などに応じた任用などの要件を定めていること。 |
(2)(1)に掲げる職位、職責または職務内容に応じた賃金体系について定めていること。 |
(3)上記の内容について就業規則などの明確な根拠規定を書面で作成し、全ての福祉・介護職員に周知していること。 |
キャリアパス要件Ⅱ
(1)福祉・介護職員の職務内容等を踏まえ、福祉・介護職員と意見交換しながら資質向上の目標及び次のア.またはイ.に掲げる具体的計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。 ア.資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施(OJT、OFF-JT)するとともに介護職員の能力評価を行うこと。 イ.資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助など)を実施すること。 |
(2)上記の内容をすべての介護職員に周知していること。 |
キャリアパス要件Ⅲ
(1)福祉・介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み、又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には次のア、イ、ウまでのいずれかに該当する仕組みであること。 ア. 経験年数や勤続年数に応じて昇給する仕組み |
(2)上記の内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての介護職員に周知していること。 |
職場環境等要件
平成20年10月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善の内容を全ての福祉・介護職員に周知していること。 |
加算を取得しようとする場合は、福祉・介護職員処遇改善計画書に併せて以下に掲げる書類を添付する必要がございます。
・労働基準法に規定する就業規則等
キャリアパス要件Ⅰに係る任用要件及び賃金体系に関する規定や、キャリアパス要件Ⅲに係る昇給の仕組みに関する規定を別に作成している場合はそれらの規定を含みます。
・労働保険に加入していることが確認できる書類
特定処遇改善加算
特定処遇改善加算とは、介護職員の深刻な人手不足の解消につなげることを目的に、将来の生活をイメージしやすくしたり、キャリアアップの道筋を分かりやすくしたりすることで、新たに入ってくる人の増加や離職の防止につなげたいという取り組みです。
福祉・介護職員特定処遇改善加算(Ⅰ)
指定共同生活援助事務所 1から8までにより算定した単位数の1.8%
日中サービス型支援指定共同生活援助事業所 1の2から7までにより算定した単位数の1.8%
外部サービス利用型指定共同生活援助事業所 1の2の2から8までにより算定した単位数の2.0%
福祉・介護職員特定処遇改善加算(Ⅱ)
指定共同生活援助事務所 1から8までにより算定した単位数の1.5%
日中サービス型支援指定共同生活援助事業所 1の2から7までにより算定した単位数の1.5%
外部サービス利用型指定共同生活援助事業所 1の2の2から8までにより算定した単位数の1.6%
具体的にはどのような算定要件が定められているのでしょうか?
福祉・介護職員特定処遇改善加算(Ⅰ)
以下の(1)~(8)の要件をいずれも満たしている必要があります。
(1)障害福祉人材(※1)やその他の職員の賃金改善について、次に掲げる①~④の基準のいずれにも適合し、かつ、賃金改善に要する費用の見込額が、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額を上回る賃金改善に関する計画を策定し、当該計画に基づき適切な措置を講じていなければなりません。
(※1)福祉・介護職員又は心理指導担当職員(公認心理師を含む)、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者若しくはサービス提供責任者として従事する方のことをいいます。
①介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士又は保育士のいずれかの資格を保有する方、心理指導担当職員(公認心理師を含む)、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者その他研修等により専門的な技能を有すると認められる職員のいずれかに該当する方であって、経験や技能を有する障害福祉人材と認められる方のうち1人は、賃金改善に要する費用の見込額が月額8万円以上となる、又は改善後の賃金(退職手当を除く)の見込額が年額440万円以上となること。 ただし、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の算定見込額が少額であることその他の理由により、当該賃金改善が困難である場合はこの限りではありません。 |
②経験や技能のある障害福祉人材の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、障害福祉人材(経験や技能のある方を除く)及び障害福祉人材以外の職員のうち専門的な技能を有すると認められる方の賃金改善に要する費用の見込額の平均の2倍以上となること。 |
③障害福祉人材(経験や技能のある方を除く)及び障害福祉人材以外の職員のうち専門的な技能を有すると認められる方の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、障害福祉人材以外の職員(専門的な技能を有すると認められる方を除く)の賃金改善に要する費用の見込額の平均の2倍以上となること。 ただし、障害福祉人材以外の職員(専門的な技能を有すると認められる方を除く)の平均賃金額が障害福祉人材(経験・技能のある障害福祉人材を除く)及び障害福祉人材以外の職員のうち研修等により専門的な技能を有すると認められる方の平均賃金額を上回らない場合はその限りではありません。 |
④障害福祉人材以外の職員(専門的な技能を有すると認められる方を除く)の改善後の賃金(退職手当を除く)の見込額が年額440万円を上回らないこと |
(2)当該事業所において(1)賃金改善に関する計画、当該計画に係る実施期間及び実施方法その他の障害福祉人材等の処遇改善の計画等を記載した、福祉・介護職員等特定処遇改善計画書を作成し、都道府県知事に届け出ていること。
(3)福祉・介護職員等特定処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること。ただし経営の悪化等により事業の継続が困難な場合、当該事業の継続を図るために障害福祉人材等の賃金基準(本加算による賃金改善分を除く)を見直すことはやむを得ないが、その内容を都道府県知事に届け出ること。
(4)事業年度ごとに障害福祉人材等の処遇改善に関する実績を都道府県知事に報告すること。
(5)福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までのいずれかを算定していること。
(6)福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までのいずれかを算定していること。
(7)平成20年10月から(2)の届出日の属する月の前月までに実施した障害福祉人材等の処遇改善の内容(賃金改善に関するものを除く)及び当該障害福祉人材等の処遇改善に要した費用を全ての障害福祉人材等に周知していること。
(8)(7)の処遇改善の内容について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表していること。
福祉・介護職員特定処遇改善加算(Ⅱ)
上記の(1)から(4)までと(6)から(8)までに掲げる基準のいずれにも適合している場合に加算ができます。
※福祉専門職員配置等加算を算定していない事業所